セイコーエプソンは30日、眼鏡型のウエアラブル(身につける)端末「モベリオ」を売り出す。国内外のメーカーの開発競争が激しいなか、本格的な販売では世界に先駆けることになる。19日に開いた事業戦略説明会では、ゲームやスポーツといった消費者向けから業務用途まで幅広い利用法を提案。祖業の腕時計で培った技術で新たな市場の開拓をめざす。
新商品「モベリオBT―200」は眼鏡のような端末と操作機器を組み合わせて使う。重さは88グラムで度のない眼鏡のようだが、電源を入れるとレンズの向こうにある現実の光景に映像や文字などが重なる。外の光景とデジタル情報を同時に見ることができるシースルー型が特徴だ。
動画やゲームをホームシアターの3~4倍に当たる320型の大画面で体感できる。店頭価格は6万円台後半~8万円台後半の見通し。家電量販店やネット通販で扱う。エプソンは眼鏡型を含むウエアラブル事業の売上高を5年後をめどに100億円に引き上げる。
アプリ(応用ソフト)を使い様々な用途に対応する。開発には空間情報コンサルティングの国際航業やゲームのバンダイナムコスタジオなどが参加。今後もコンペ方式でパートナーを募る。説明会で碓井稔社長は「(眼鏡型は)エプソンと組まなければと思われるようにしたい」と意気込んだ。
30日の発売時点では夜空を見上げると星座を教えるアプリなど約20の楽しみ方を用意。ゴルフ場でピンまでの距離を表示したり、機械の修理方法を教えたりする使い方も想定する。
新商品は時計を祖業とするエプソンの小型で精密な電子部品を製造する技術の粋を盛り込んだ。11年に前身モデルを開発したが、市場に受け入れらなかった。3分の1に軽量化、明るさも2倍にするなど使い勝手を高め本格販売に踏み切る。