自転車シェアリング一般質問

コミュニティサイクルのメリット

登録が簡単ですぐに利用可能

カーシェアリングの場合、登録してもすぐには利用できません。専用のカードを選択した車に貼ってあるセンサー(のようなもの)に触れないと車が開きません。そのカードが手元に来るまでは利用できないということです。

でも、コミュニティサイクルの場合、登録が非常に簡単です。ホームページから1分くらいで登録ができるので、もしスマホを持っていればステーションの前でサクッと登録、自転車に乗れます。

※利用するためのICカードをそのコミュニティサイクル専用のものにすると、カード発行までは利用不可です。

スイカなどのICカードで利用可能

コミュニティサイクルを利用するのにそれ専用のカードでないとダメ!ではちょっと不便ですよね?でもほとんどの自治体では、スイカなどの交通系ICカードやお財布ケータイで利用可能なので無駄なカードを持たずに済みます。

旅行先でも乗れる

自治体によっては1日パス(当日24:00まで)のように気軽に乗れるステーションもあります。もし旅行先でちょっと自転車でブラブラしたい人にはもってこいだと思います。料金も500円くらいなのでお手軽だと思います。

ただ、まだまだ対応している自治体がないので事前チェックが必要です。

 


4.国内の自転車シェアリング事例

➀NTTドコモ
https://docomo-cycle.jp/tokyo-project/
国内では、NTTドコモが自治体と社会実験を実施しています。
自転車1台ごとにGPS機能を持つ端末が付いており、決済は、クレジットカードやドコモケータイ払い、SuicaやPASMOなどのICカード、FeliCaカードが使えます。一部を除き24時間営業で、年中無休で稼働しています。
法人向けの料金プランも用意されており、通勤や買出し、外回りに活用されています。
2017年1月からは、「自転車シェアリング広域実験」として、東京都内7区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、渋谷区)で展開されている、すべてのステーションで貸出・返却することが可能となりました。
通常なら、地方自治体や企業ごとに運営されており、新宿区内で乗り始めたら、返却も新宿区内となっていましたが、自治体を横断して、自転車を利用することができるようになりました。
大田区、練馬区、品川区でもドコモ・バイクシェアの運営で自転車シェアリングを実施していますが、こちらで7区広域実験の自転車を返却することはできず、相互乗入れは不可となっています。
参考記事:

新宿区が遂に自転車(サイクル)シェアリングへ!都内5区の連携で広域のポートマップを実現
盛り上がる自転車シェアリング セブンイレブンがドコモ子会社との協業でサービスを順次拡大!

https://www.hellocycling.jp


③まちのり(金沢)

http://www.machi-nori.jp

石川県金沢市の自転車シェアリングサービスの「まちのり」は、地方活性化に一役買っています。

金沢市内の主要のホテルに連携窓口が設置されており、そこから申し込み手続きをすることができます。まちのり事務局では手荷物預かりサービスもしており、まちのりを利用しなくてもサービスを使うことができるため自転車シェアリングを知らない観光客への宣伝、誘導することができます。

さらにまちのりクーポンを発行しています。ステーションから紙のクーポンを発行するか、Web経由でクーポンを表示することで、お得に市内観光や買い物を楽しむことができます。

飲食店だけではなく陶芸教室などの体験施設もあり、自転車で回遊しながら観光を楽しむことができます。まちのりのポートでの公衆無線LANサービスや、ベビのりというベビーカーのシェアリングサービスも同時に展開しています。








5.今後の課題

IoT化やキャッシュレス決済も追い風となり、自転車シェアリングの普及エリア、ステーション、自転車が増えています。しかし安全面、法律など今後の課題についても考えなければなりません。

日本では自転車は子供からお年寄りが乗ることができます。しかし国によっては自転車に乗れる年齢が決まっており、中国では16歳未満は自転車を利用することができません。こういった法律を遵守するために、自転車シェアリングサービスは利用前にWebやスマートフォンで利用者登録することで、スクリーニングをしています。

また安全面での配慮も求められます。

交通事故に巻き込まれるだけではなく、自転車が交通事故を起こしてしまう場合もあります。自転車は免許なく誰でも乗ることができため、利用者は安全を守る交通マナーを求められます。世界各地で提供されている自転車はヘルメット、反射板が付いており、前輪・後輪にブレーキが設置されています。また自転車専用レーンが主要都市やメインエリアに設置されている国も多数あります。

さらに、ステーションの設置場所も肝になります。商業施設や、公共交通機関との連携も求められるでしょう。自転車ステーションにたどり着くまでには、最寄りに公共交通機関があればとても便利です。公共交通機関が通らない場所へ行く際に、自転車を利用し、返却する際も、最寄りの公共交通機関があれば、回遊性も高まりますし、行動範囲が格段に広がります。



7.まとめ

自転車シェアはレンタサイクルという形で古くからあるサービスですが、借りた場所に返さなくてはいけないため自由に乗り捨てしたいという利用者の要望を満たすことができず、自治体主導で成り立つ公共性の高いサービスと捉えられがちでした。

しかしIoTとの連携でかつてのサービスよりはるかに便利に生まれ変わり、すでに敏感な消費者はその利便性の高さに気付き、にわかに需要が高まっています。

今や自治体だけでなく民間企業も自転車シェアへの参入に積極的。新たな企業の参入も次々と発表され、今後市場はさらに盛り上がることが予想されます。2018年は自転車シェアから目を離せない年になりそうです。

 


自転車シェアリング|東京都環境局

www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/management/bycicle...

自転車シェアリングとは
一定の地域内に複数配置されたサイクルポートにおいて自由に貸出・返却できる貸し自転車で、
借りたサイクルポートとは異なるサイクルポートに返却することができます。
都は、自転車シェアリングコミュニティサイクル)事業を実施する区とともに、
区境を越えて自転車の相互利用ができる「広域相互利用」に取り組んでいます。

※サイクルポート:
歩道上等に設置された自転車の貸出・返却を行う無人の駐輪施設 ...




http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/management/price/anzennriyou.files/jap.pdf






 

レンタサイクルの実例

ヴェリブ(velib’)

フランスの中心都市であるパリのレンタサイクル
2007年にスタートされ、300メートル毎に設置されたポイントにて乗り捨て自由な新しいレンタサイクルシステムです。
現在は約1800ポイントが設置され、24時間営業で利用できる自転車は2万台を越えるという規模です。
成功のポイントは、なんだろうか?
フランスの大手広告会社であるドゥコー社が市に提案したビジネスモデルで内容はこうです。
ドゥコー社がレンタサイクルの運営を請け負う見返りとして、市はパリ市内の約1600箇所の屋外広告パネル使用権をドゥコー社に認めるというもの。
またヴェリブ利用料はパリ市の収益となり、年間2千万ユーロ(約27億円)がもたらされています。
市民の利便性の向上だけでなく、企業の収益、市の財政も得られ、もちろん観光都市としての魅力も向上するのだから画期的なシステムと言えます。


バークレイズ・サイクルハイヤー
バークレイ銀行が主催するイギリスの中心都市ロンドンのレンタサイクル
2010年にスタートされ、ロンドン市内に300メートル~500メートルおきに700箇所以上のシェアステーションを持つバイクシェアリングシステム。英語圏では自転車のことはバイクと言います。
基本料は1日1ポンド(185円)
30分以内の利用なら、1日何度でも追加料金はかかりません。
30分以上の利用は追加料金が発生していく設定になってます。
また1週間や年間パスなどの料金もあるそうです。
1回バスに乗れば1ポンド以上かかるので、市民はもちろん観光客にも支持されているようで、レンタル時に操作するパネルは日本語にも対応しているそうです。
ファッショナブルなサイクルウェアやサイクルカフェが流行し、自転車文化が盛り上がっているロンドンでは「ロンドンを世界でもっとも魅力的なサイクリストの街にする」と宣言した名物市長のボリス・ジョンソン氏も自転車通勤です。
以上2つの海外の実例を挙げましたが、他にもドイツのCall-a-Bikeやウィーンのシティーバイクなど、ヨーロッパ各国の主要都市では自転車も1つの移動手段として認知されており、自転車専用道路をはじめとする利用環境が日本よりも整備されています。


日本のレンタサイクルの実情は?
京都のレンタサイクル
日本で観光地といえば京都ですが、京都では観光客向けのレンタサイクルを運営している会社がいくつもありますが、まだまだ上記でご紹介したようなシステムではなく京都市民が普段使いできる規模でもありません。
現状海外のシステムに近いシステムなのは、ミナポートさんでしょうか。
返却ステーションは市内4箇所
臨時駐輪ステーションは34箇所で約60分の駐輪時間が無料
利用料金は2時間まで500円で過ぎれば24時間1000円となります。

東京のレンタサイクル
スイクル(suicle)
東京でJR東日本企画がスイカを活用して2013年にスタートしたsuicle。
登録すれば、Suicaが会員証として使えるシンプルさが便利です。
利用料金の設定も低くサイクルシェアリングとしては海外に近いシステム。
1ヶ月利用が2500円
1日利用500円
一時利用最初の1時間100円
01 武蔵境駅ポート 
02 東京農工大学科学博物館前ポート 
03 東小金井駅ポート

駅前やまちなかのポートで貸し出しや返却ができますが、現状はポート数が3ヶ所しかないので、これからのサービスの拡充が望まれるが、同じ交通機関を運営する鉄道会社としてどこまでサイクルシェアリング事業に本腰を入れられるかに注目したいと思っています。
スイクルのホームページはコチラから
http://suicle-ccs.jp/


市営のレンタサイクル
高チャリ
群馬県高崎市が地域振興のために、中心商店街に訪れた人に無料レンタルをスタートされました。
利用時間は7時~22時まで
サイクルポートは12箇所:100円入れて貸し出し、返却時に100円戻るシステム
市が中心となって運営するサイクルシェアリングのシステムで、実質無料の利用料の安さと手続きの手軽さが注目を集めています。
ですが2015年5月の報道では残念な状態に陥っているそうです。
市が用意したレンタサイクルの自転車150台のうち140台が行方不明。
どうもその大部分が通勤用の自転車として利用されているようで、夜間は自宅に置いている利用者が多く、返却時間をすぎてもサイクルポートには戻ってきていない状況のようです。
中には、住宅街に乗り捨ててあるような自転車もあるそうです。
地域振興の為にと、利便性や利用コストをサービスした高崎市の気持ちは理解できますし、素晴らしいことです。
ですが、実際に利用される需要としては通勤利用が多かったわけです。こうなればいっそ、利用料もきちんと設定して支払いをクレジット払いにするなど利用者側の責任を明確化して、レンタサイクルの居場所も追跡しやすくしたほうが良いのではないだろうか?
実際に、サイクルシェアリングの管理には初期投資以外にも自転車や設備のメンテナンスなど必要経費がかかってくるのは間違いないのですから、一部の市民の利用負担を税金だけで賄うのは問題であるかと思います。
今後のシステム改善に期待しております。


日本のレンタサイクル まとめ
海外と比べて、日本のレンタサイクル事情はまだまだ遅れているようです。
サイクルシェアリングの考え方としては、移動交通手段としての自転車利用の利便性を追求していくのが王道であるように思われます。
そこに必要なのは、移動交通手段として客観性が求められる組織、企業の運営が必然であるように思われます。営利組織というハードルでは、より強くその客観的な立場が求められます。NPO組織においても、その地域に対しての客観性は求められることでしょう。
そこには、利用者の利便性と同じくらい、都市としてのあり方、地域としての価値観が重要視されるからです。
日本においても、このような考え方に根付くサイクリングシェアシステムが構築されることを願います。





https://docomo-cycle.jp/tokyo-project/#about